質量変化を見逃さない分銅の校正
分銅の校正は、なぜ必要なのでしょうか。
分銅は、「電子はかりのように装置とは違うので、点検や調整が必要ない。」また、「購入した時の校正証明書があればずっと大丈夫。」と
思っていませんか。
分銅は、使用頻度・取扱方法などの使用状況による磨耗や油分、ほこりの付着など保管の管理環境によって、質量が変化しますので、定期的な
校正が必要です。
それでは、分銅の校正について、次の順にご紹介します。
1) 分銅の校正の種類
2) JCSSについて
3) 分銅の校正周期
1) 分銅の校正の種類
分銅の校正には、「JCSS校正」と「一般校正」があります。
JCSS校正とは、ISO/IEC 17025を認定基準に定めて、校正を提供する側の校正の能力(品質および技術)をNITE 認定センターが国に代わって審査し、登録されているJCSS登録事業者による校正です。
このようにNITE 認定センターが第三者として、校正の能力を認めていることによってJCSS校正結果(証明書)が信頼され、JCSS校正証明書付きの分銅は、国家標準までトレーサブルであることが保証され、ISO9000シリーズやJIS・GMP・GLP・HACCP・認定試験所などの計測器管理項目をクリアすることができます。
一般校正は、校正事業者それぞれによる、校正能力やトレーサビリティ証明の自己宣言に基づいて行われる校正です。
一般校正は、校正の能力を第三者がISO/IEC 17025などの基準によって評価をしたり、認めたものではありません。
校正を依頼する側と校正を提供する側との一対一の信頼関係によって、校正の能力が認められてきた校正です。
2) JCSSについて
JCSSとは、Japan Calibration Service System の略称であり、計量器の校正または標準物質(分銅等)の値付けを行う事業者
の登録制度です。
登録要求事項はJIS Q 17025(ISO/IEC 17025: 試験所・校正機関に関する一般要求事項)です。
JCSS登録事業者は、その証(あかし)としてJCSSシンボルマークの入った校正証明書を発行することができます。
3) 分銅の校正周期
はかりの製造事業者や修理事業者、計量士が持つ「基準分銅」については、計量法で校正周期が規定されています。
しかし、一般の利用者が持つ基準分銅以外の分銅については、特に法による取り決めはありません。
特級分銅:3年
鋳鉄製の基準分銅:1年
鋳鉄以外(ステンレスや黄銅)の基準分銅:5年
基準分銅と違い校正周期は強制されないので、分銅の所有者が重量管理で品質を保証できる期間から、校正周期を設定・管理します。
推奨する校正周期は、
鋳鉄以外(ステンレス、黄銅など):1年から3年
鋳鉄:1年
尚、使用頻度が高ければ校正周期を短くすることをお勧めします。
解説用冊子
【 冊子タイトル 】
質量変化を見逃さない分銅の校正
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両面印刷し、左綴じにすると冊子になります。
用紙サイズは、B5 または A5 がお勧めです。