産業用の電子はかりが、工場や研究所で多く使われています。
これらの電子はかりが、誤差なく、正しく計量されていないと、生産品が不良となったり、間違ったデータを記録してしまいます。

日常の点検方法-01

電子はかりは、「長期間の使用」や「水平やガタツキなどの設置状況」、また「異物の付着による、よごれ」などにより、重量表示にズレ(誤差)が発生する事があります。
そこで、正しく計量できているか、はかりを使用する前に必ず点検する必要があります。

日常の点検方法-02

点検には、「日常点検」「定期点検」「定期検査」があります!
日常点検とは、はかりを使用する前に行う点検で、作業担当者が行います。
定期点検と定期検査は、一定の時期、または、使用期間を定めて実施し、日常点検より確認項目を増やして行います。
定期的な点検や検査は、ある程度の知識や経験が無いと実施が難しい内容なので、専任者を決めて行います。
今回は、作業担当者が、はかりを使う前に行う、日常点検の方法についてご紹介します。

点検の種類

日常点検では、次のような内容を実施します。
 ① 設置状況の確認
 ② 計量皿の汚れやその周辺の異物の有無を確認
 ③ ゼロ点の戻り確認
 ④ 普段計量している測定物に近い重量の分銅を載せ、重量表示を確認
このような項目を行います。

 点検基準の設定

まず、日常点検を始める前に、はかりの性能から点検基準を決めておきます。
はかりの性能は、はかりの銘板などの表示内容から確認します。
大和製衡製の電子はかり UDS-600-WPN-3 を例に性能を確認し、点検基準を設定してみます。
性能は、
・ひょう量(計量できる最大値) : 3000g
・目量(最小表示) : 0.5g

はかりの性能表示

点検基準としては、
・普段計量している重量を「200g」と「1kg」にしました。
・誤差の許容範囲は、品質面の要求から決めますが、一般的に目量(最小表示)の2倍とするので、±1g
としました。

 ① 設置状況の確認

設置状況を確認します。
はかりは、水平状態で使用しないと正確に量れません。
水準器の気泡が中心から外れている場合は、アジャスタを調整して水平器の中心に気泡が位置するように水平を調節してください。

水平を合わせる

 ② 計量皿の汚れやその周辺の異物の有無を確認

計量皿の汚れや、その周辺の異物の有無を確認します。計量皿にゴミなどが付着していると付着物が作業中に外れ、誤差の原因となるので、事前に取り除きましょう。
また、計量皿に異物が触っていると、ただしく重量が表示されませんので計量皿に触らないように離しましょう。

汚れ・異物の除去

 ③ ゼロ点の戻り確認

ゼロ点の戻りを確認します。
はかりの電源を入れた後、計量が安定するまで少し時間を置きます。
はかりの「ゼロセット」ボタンを押して、ゼロ点を設定後、分銅の載せ降ろしを数回行いゼロ点(0.0g)への戻りを確認します。

ゼロ点の戻り

 ④ 普段計量している測定物に近い重量の分銅を載せ、重量表示を確認

測定物に近い重量の分銅を載せ、重量表示を確認します。
はじめに、200gの分銅を用意し、ゼロ点を確認後、分銅を載せ、重量表示が許容以内の200g±1g以内であることを確認します。

分銅による点検-01

次に、1kgの分銅を用意し、ゼロ点を確認後、分銅を載せ、重量表示が許容範囲以内であることを確認します。

分銅による点検-02

 解説用冊子

はかりの日常点検の方法とは?-冊子


【 冊子タイトル 】
 はかりの日常点検の方法とは?

表紙画像をクリックすると原稿(pdf)が表示されます。
両面印刷し、左綴じにすると冊子になります。
用紙サイズは、B5 または A5 がお勧めです。

 解説用動画